未知との遭遇

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 私、夏目(なつめ) ひなこ、18歳。  地元の高校に通ってる、世話好き兼お節介な性格のごく平凡な女の子。  両親は海外出張中で、今は悠々自適な一人暮らしを満喫中なんだ。  料理研究部に所属していて、月に1回皆で食材を持ち寄って、レシピを見ながら調理実習という名の食事会をする楽しい部活。  その帰り道。  いつもより遅くなったせいか、辺りは暗くて。  街頭もまばらで、ちょっと怖い。  公園を抜けると近道だから、少し早足で公園内を歩いていた時。  ふと。  見慣れない黒い塊が、ベンチにあって。  誰か、大きめの荷物を忘れてるのかな?なんて思ってた。  近付くにつれて、荷物じゃないなって思ったんだけど。  まさか。  うずくまって、ベンチに横たわってる人だったなんて…。  気にはなったけれど、寝てるだけかも。  そう無理矢理自分を納得させて、サッと足早に通り過ぎようとした時。 「うぅ………。」と、低い声が唸って。  ビックリして、つい声のしたほうを見てしまった。  額に汗を滲ませて、お腹を抱えるようにしてるその人は、すごく苦しそう。  もしかしたら、自分で病院に連絡出来ない位、ツライのかな?  あまり人通りのない公園だし…。  このまま放っておいてもっと酷くなったりしたら、どうしよう。    それで、つい「大丈夫ですか?」って声をかけてしまったんだ。
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