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さてと。
我が家に到着。
鞄から鍵を取り出して、扉を開ける。
覇気の全くない抜け殻みたいになってる人を、家に迎え入れた。
玄関に入った途端。
──バタン。
力尽きたみたいで、男の人は崩れ落ちるように倒れた。
「ちょっ、大丈夫ですか?」
何とか起こそうと肩に手をかけるけれど。
男の人を、簡単に持ち上げられるはずもなくて。
ううう、どうしよう。
放っておいて、ご飯の用意パパッとしちゃう?
だけど、このまま放置するのは…流石に気が引ける。
そんなことを考えていたら。
ガシッ。
凄い力で腕を掴まれた。
「あ、あの……」
「………。」
起き上がれますか?という言葉は。
切羽詰まったような眼差しに遮られた。
ドクンッ。
心臓がとび跳ねる。
こんな超絶イケメンに至近距離で見つめられると…。
うううぅー緊張する。
ドキドキと高鳴る鼓動を聞きながら、冷静になろう!と大きく深呼吸してから口を開いた。
「あの、ご飯、すぐ用意するので…」
「……飯…」
「!そうです!ご飯です。」
「……喰わせてくれる…のか?」
「もちろんですよ!」
初めて会話が成立した!
そんなことで、どうしようもなくウキウキしてくる。
よし。
意識もだいぶはっきりしたみたいだし。
サッと準備してきますか!
で、動き出そうとしたんだけど。
その瞬間腕を引っ張られて、私の身体は男の人の方へ倒れた。
…仰向けになった、その人の上に。
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