93人が本棚に入れています
本棚に追加
ひえええ!
すぐに身体を起こそうと、したんだけど。
しっかり抱き締められてて身動きが取れない。
ドキン、ドキン…。
痛いくらい心臓が音を立てる。
「……フッ。元気な心臓だ。」
「…う……。」
「…そう怖がらなくとも大丈夫だ。」
怖がってるんじゃなくて。
照れているんです!なんて言えるわけもなく。
誤解されたまま、優しく微笑まれて居たたまれない気持ちになる。
もうどうしたらいいの?
早く離してほしい。
だけど、ぎゅっと抱き締められるのって…安心するっていうか、ドキドキするんだけど、心地良い気がする。
ほわほわした気持ちになっていると。
ゆっくり私の首もとへ、その人は顔を近付けてきた。
──チクン。
針に刺されたみたいな痛みが突然襲ってきて。
「……っ!」
今度はジュルって、何か啜(すす)るような音が聞こえてくる。
え?
く、首、舐められてる?
ひんやりとした舌が、チクンとした辺りを味わうように舐めていて。
どどど、どういうこと?
パニックになる私をよそに、はぁっと色っぽいため息が首にかかる。
くすぐったいのに、何で。
私の身体…変。
熱が出たみたいに、カッと体温が上がったような、そんな感覚。
頭もぽーっとしてくる。
最初のコメントを投稿しよう!