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園長先生が卒園証書の内容を読み上げようとして、又、空気を裂くような音がした。何を撃ったのか確認してみると、俺が貰う筈の卒園証書の真ん中に、丸い穴が空いていた。
「あッ」
園長先生は小さく叫ぶと、俺が何に慌てていたのか気付いたらしい。だが悲鳴を上げる事はなく、檀上にあった非常ボタンを静かに押して微笑んだ。
「大切な子供達を預かるこの学園は、随所に防御設備があるの。でも、これは、怖いね」
俺の卒園証書の真ん中の穴から、俺のやや後方に銃弾は抜けている。回る換気扇の羽を避けて打ち込む技術からすると、わざと外しているのだろう。
「おめでとう、夏目君。よく頑張ったね」
「ありがとうございます」
でも、緊急事態なので、皆の安全を確保しよう。俺がそのまま廊下に出ようとすると、マスクをした細い男が俺の腕を掴んだ。
「現場を離れないでください」
現場を離れるなと言っても、俺がいると、ここのガキ共が危険だろう。俺が男を見上げると、死んだように生気の無い目があった。だが、確信を持った表情をしていて、絶対の自信を持っている。
「狙っていたのが俺ならば、もうとっくに死んでいたということか……」
「そういうことです」
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