第一章 君無くして春は来ず

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「チビ2、変形して銃型になって」 「ラジャー!!!!!」  チビ2に自分の銃をセットすると、微かに見えている山を捕捉する。 「相手は、車を降りて、山の中を走っている」  次の位置を決めているだろう。障害物が無ければ、俺も向こうの山が見える。相手の行動を予測し、木から抜ける瞬間を待つ。  俺は、銃の衝撃で屋根から落ちないように足場を固めた。 「よし!木から出た!」  俺はその瞬間を待っていた。俺は弾を数発撃ち込むと、隠れた場所を確認しておいた。 「脅しには、脅し」  殺すつもりはない。だが、車に発信器を撃ち込み、次に人間を掠るように撃ってみた。 「いい腕ですね……この距離で、人間を見つけられるだけでも凄いのに」  しかし、モタモタと屋根に登ってきた小御門も、はるか先にいる人間を確認していた。 「発信器には気付くでしょう」 「気付かれるように付けた。あれはダミーで、実際は匂いを付けた、犬に追わせる」  人間を掠らせた弾は、匂いを持っている。 「手配する……」  仕方なさそうに本村が、警察犬を手配していた。
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