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「船乗りが、喋っていた。母国語で喋っていれば、周囲には分からいと安心しきっていたのでしょうね……」
サービスエリアには、トラックのドライバーも多くいて、時間の調整をしていた。そのせいなのか、周辺に定食屋が密集し。様々な業種の人が集まっていた。
「定食屋は、安くて美味くて、量が多い店が多かったので、船乗りにも常連が多かった。持田さんは、そこで弁当を買って、亭主に届ける時も多かった。眞次郎は、そこでの会話を理解し、犯罪に気付いてしまった」
眞次郎は、船乗りとトラックドラーバーの話を重ねてゆき、密貿易の日時や品物を把握してしまい、かつ、その情報を、担当する桐圓学園の職員に流してしまった。
職員は眞次郎が何を言っているのか分からず、取引現場へ確認する為に行ってしまい、行方不明になった。
「薬物や銃の類だったのでしょう。船乗りは頼まれて、海上で荷物を海に降ろしたと言っていた」
小型のゴムボートにエンジンが付いたもので、その上に荷物を置いて、夜中に流した。船乗りはバイト感覚で、それが密輸に繋がると分かっていなかった。
「船乗りは、海流の研究だと聞かされていたようです」
トラックのドライバーは、夜の海を見るのが好きで、時間に余裕が出来た時は、港にトラックを止めて眺めていた。すると、港以外の場所で荷下ろししているボートを見掛けた。
密漁でもしているのかと、見ないふりをしていたが、気になって近付いてみると、魚ではないものを運んでいた。
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