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僕は、幸くんを避けるようになった。
希が言った通りに、幸くんから離れることにした。
始めは、幸くんも戸惑っていたけど、僕のつれない態度にいい加減腹が立ったのかもしれない。
次第に僕に話し掛けるのは止めて、代わりに希と過ごしている姿をよく見かけるようになった。
その中に、入りたいと思うこともある。
でも、そうしたら、あの希の幸せそうな顔は一瞬にして抜け落ちるんだろう。
希がやっと掴んだ幸せまで、奪うわけにはいかない。
幸くんと離れたことで、クラスメイトからのいじめが再び始まった。
まだ、陰口を言われるくらいだけど。
徐々にまた前のようにエスカレートするだろう。
『ならこうすればいいじゃん』
あの時の、幸くんの手の温もり。
あの時は、幸くんの言う通り、もしかしたら僕も…幸せになってもいいのかもしれないと、ほんの少しだけ考えた。
でもやっぱり、それは違った。
ただ、それだけの話。
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