24 Nozomu.side

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24 Nozomu.side

「俺は、未だにまだわかんねぇよ。 自分が、何をしたいのか。 でも、親父が教えてくれた。 まだ迷っててもいいって。 誰かのためじゃなく、自分のための夢が見つかるまで…俺は、何にも考えずに自由に生きる。 俺たちは、大人から見たら…まだまだ子どもなんだろ、きっと」 そう言って笑う赤川は、俺には、とても大人に見えた。 ただ好き勝手に生きているだけだと思っていた赤川の自由には、俺なんかには想像も出来ないくらいの、大きな覚悟があったんだろう。 「お前だってそうなんだよ。 まだ16だろ。全然子どもなんだよ。 お前だって、俺みたいに好き勝手に生きられるはずだろ」 「…そんなこと、出来るわけ「出来るんだよ」 「…え…?」 赤川は俺の言葉を遮った。 何もかも見透かしているような目が、俺を真っ直ぐに見つめる。 「出来るのに、お前はしてこなかった。 自由に生きたいって言いながら、お前は結局、強制される楽な未来の方を選んだ」 強制される、楽な未来…。 確かに、そうだったのかもしれない。 俺が父さんに逆らわずにこの道を選んだのは…逆らって自由を手に入れる道の方が険しいと思ったからだ。 結局自分でこの道を選んだくせに、いや、自分で選んだからこそ、俺は…兄貴への罪悪感に、耐えられなかった。 兄貴が、俺を責めないから…誰も、責めなかったから…兄貴が俺に笑いかけるたびに、自分の醜さを思い知らされるようで、苦しかった。 だから…兄貴の幸せを壊して、兄貴に、俺を恨んでほしかった。 恨んで、憎んで、責めてほしかった。 その方が…きっと、楽になれたんだ。 一番最悪な形…俺は、醜い。 小さくて、情けない…弱い人間なんだ。 「でも、お前は、まだやり直せる」 「…もう無理だよ。父さんも母さんも兄貴も、皆俺が滅茶苦茶にしたんだ。今更…」 今更、元に戻すなんて出来ない。 元に戻すだけじゃない。 ここから…良い方向に引っ張っていくなんて、そんなこと…俺にそんな力はない。 「…兄貴となら、やり直せる。 お前の兄貴は、まだ生きてんだろ」 その言葉は、赤川の口から語られるからこそ、とても重い意味を持った。 兄貴とやり直す。 そんなことが、今更俺に許されるのかはわからない。 そんなことが、今の俺に出来るのかも。 でも、あの時抱いた後悔も、やり直したいと思う今の気持ちも、嘘じゃない。 今の俺に断言出来ることは、それだけだ。 「…赤川」 ありがとう。 そして、ごめん。 「…そばで、見ててほしい。 お前が見てるなら、出来る気がする」 もう少しだけ、弱い俺の背中を押してほしい。 赤川は、また優しい目をして、笑ってくれた。
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