1 Amane.side

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1 Amane.side

幸せなら手をたたこう。 幸せなら手をたたこう。 そう執拗に繰り返すそんな歌を初めて聞いた時、僕は、自分の未来を悟った。 僕は、十歳の頃に、事故で右腕を失った。 それと同時に、未来までも、失ってしまった。 『お前が出来損ないだからそんな欠陥品になったんだ』 長男だった僕を、自分と同じ医者に育てる気だったお父さんは、お母さんをよくそう言って責めた。 毎日毎日、僕とお母さんを並べて、汚いものでも見るように睨みつけて、何度も何度も、そう言った。 『あんたがそんなんだから』 お父さんに責められたあと、お母さんはその苛ちや哀しみを僕にぶつける。 僕を椅子に縛り付けて、何度も何度も殴る。 『兄貴が最初からいなかったら良かったのに』 僕の代わりに医者になるよう強く言われて育った弟は、僕を憎んでいる。 お前が最初からいなければ、諦めもつくのにと。 学校には通わせてもらってるけど、成績もいいとは言えないし、友達も、いるとは言えない。 僕の人生は、最初から決まってるんだ。 腕を、失ったその瞬間から。 『幸せなら手をたたこう』 なら、たたく手がない僕は? 幸せになるな、と神さまに言われた気がした。 沢山の人を、不幸にしているのだから。
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