運命の出逢い?

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「荷物、ちゃんと全部詰めたわよね? 忘れ物はない?」 「大丈夫よ。昨日何度も確認……あっ!」 ──そうだ、あの絵本。 今朝夢を見るまですっかり忘れちゃってたけど、確かまだ押し入れに……。 「あった!」 “白雪姫” 表紙の文字と目が合って、声を上げた。 懐かしい。 昔はずっと、肌身離さず持ち歩いていたその絵本。 自分と同じ字をしたプリンセスがいるのがなんだか嬉しくて、誕生日プレゼントにおねだりしたっけ……。 「ちょっと何してるの。お母さんは先にリビングに行ってるから、早くしなさいよ?」 「はーい」 私は元気に返すと、胸に抱いたそれを段ボール箱の中に詰めた。 * 「よろしくお願いします!」 荷物の積み込みを終え、引っ越し屋さんに挨拶する。 私は先におじいちゃん家へ向かうため、お母さんの車に乗り込んだ。 「もう忘れ物はない? 大丈夫?」 「大丈夫だって! 心配しすぎよ」 「あっあと、おじいちゃんにはできるだけ迷惑かけないようにね」 「勿論、ちゃんと気をつけます!」 ……もう、お母さんったら本当心配性なんだから。 口を開けば出てくる言葉に、思わず笑みを零す。 「何かあればすぐに連絡するのよ?」 「わかった。ありがと」 こうしていつの間にか時は過ぎていき、気づいた時にはもう、おじいちゃん家の前まで着いてしまっていた。 「……じゃあ白雪、元気でね」 「お母さんもね。それから、お父さんによろしく! じゃあ、行ってきます!」 車から降りた私は、ちょっぴり名残惜しくもお母さんに別れの言葉を告げた。
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