運命の出逢い?

7/12
前へ
/13ページ
次へ
「あんた泥棒でしょ!」 「……泥棒?」 身体を起こしたその青年は、私の言葉にきょとんと首を傾げた。 「とぼけても無駄よ。盗みに入った家で布団まで敷いてのうのうと寝てるなんて、図々しいにも程があるわ。さあ、白状しなさい」 きっとおじいちゃんの留守を狙ったのね。 そしたら鍵が開いてて、シメたとでも思ったんでしょう。 でも、そうはいかないわよ! 「ごめんね、君がこんなに早く来るなんて思ってなか……って、あー! もうこんな時間だったのか!」 は? 何この人! ……あくまでしらを切るつもり? そういうことなら……。 深く息を吐く。 そして、ゆっくりと構えた。 呼吸はオーケー。姿勢も完璧。しっかり目標を見定めて。 ……いける。 空手なんて長らくやってなくて心配だったけど、積み重ねた経験はちゃんと身体に染みついている。 ちょっと見た目がアレだからって、容赦しないんだから。 おじいちゃん……この家は、私が必ず守ってみせます! 「……はぁーっ!」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加