2人が本棚に入れています
本棚に追加
何かの見間違い?
ううん、違う。
こっそり標札を覗くと、“高月”という文字が目に入った。
今朝から引っ越し業者さんが来ているのは知ってたけど、まさか憐くんだったなんて。
「あっ」
不意に目と目が合って固まった。
「え、えっと」
「アンタ、クラスにいた……」
「はい! そうです」
あーもう私、緊張しない!
「お隣だったんだね、よろしく」
ドキドキが高まる中、ぺこりと頭を下げた。
そんな時。
──ドサドサドサッ。
「ぎゃあっ!?」
滝のように流れ落ちた教科書たち。
あぁ、もう最悪っ……。
不幸にも私のリュックは全開だったみたいだ。
「ご、ごめんなさい!」
恥ずかしくってたまらない。
私は、とにかく急いで散らばった教科書をかき集める。
「手伝おうか」
「え?」
驚いて拾う手が止まる。
すると憐くんは、フッと笑ってこう言った。
「変わらないね」
最初のコメントを投稿しよう!