転校生は憧れの人

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何かの見間違い? ううん、違う。 こっそり標札を覗くと、“高月”という文字が目に入った。 今朝から引っ越し業者さんが来ているのは知ってたけど、まさか憐くんだったなんて。 「あっ」 不意に目と目が合って固まった。 「え、えっと」 「アンタ、クラスにいた……」 「はい! そうです」 あーもう私、緊張しない! 「お隣だったんだね、よろしく」 ドキドキが高まる中、ぺこりと頭を下げた。 そんな時。 ──ドサドサドサッ。 「ぎゃあっ!?」 滝のように流れ落ちた教科書たち。 あぁ、もう最悪っ……。 不幸にも私のリュックは全開だったみたいだ。 「ご、ごめんなさい!」 恥ずかしくってたまらない。 私は、とにかく急いで散らばった教科書をかき集める。 「手伝おうか」 「え?」 驚いて拾う手が止まる。 すると憐くんは、フッと笑ってこう言った。 「変わらないね」
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