3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
rain
2025年6月5日。
鹿児島県の奄美大島では6月1日未明から、突然の大雨が降り続いていた。原因は全くわからず5日現在も降り続き、やむ気配はまるでない。梅雨入りしていたとはいえ、5月末にはからからの晴天が何日か続いていたのだから、なお不思議だ。
元々奄美地方は降水量が多いことで有名で、中でも6月はダントツに雨が降る。それでも猛烈な豪雨が、5日間も降りっぱなしという現象は前代未聞で、当然ながら既に浸水や洪水などの被害が相次ぎ、人々は高い建物などに避難を余儀なくされた。政府も自衛隊を現地に続々と派遣し、隊員たちはけが人の救護や水と食糧の供給に当たっている。
「なぜこんなことに…。早く何とかしなければ島が、島民の命が危ない」
30代前半くらいの青年が、降りしきる雨を避難所の窓越しから見て呟いた。
彼の名は葛城ヒロ。
生まれも育ちもここ奄美で、ずっと島で過ごしてきた。なので雨が多いのは慣れっこだし、度々土砂崩れなどの災害も経験してきた。
しかし今回の大雨は、過去の比ではないことは明らかだし、弱まる様子もなく滝のように降り続いている。このままでは、本当に島ごと流されてしまうのではないか。
ヒロはまだ辛うじて繋がるネットを駆使しながら、独自にこの豪雨が降り続く原因と、雨をやませる解決策を探ることにした。
最初のコメントを投稿しよう!