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ブリーフィングルームA2。
緩やかなカーブを描くテーブルと椅子の列。
それらがいく層にも連なったその先に、白塗りの教壇が腰を据えている。
薄い空色の壁のいたるところに取り付けられたスピーカーとモニターが全方位をカバーし、席に座る者への情報の伝達漏れを許さない。
最大600人のキャパシティを持つこのタイプの部屋は、主に複数の小隊が参加する合同作戦時に利用される。
たったの1個小隊32人だけでは、狩れる獲物などたかが知れている。
太古の昔から、人間は群れ、隊列を組み、連携することによって己より遥かに強大な敵に立ち向かってきた。
合同作戦。
群れを成した弱者が、圧倒的な強者を打ち倒す聖戦。
緊急と称して開かれたこのブリーフィングには、3つの小隊が集まっていた。
インド南部チェンナイの浄化装置を守る駐屯小隊である、第10小隊。
戦車や装甲車を含む機械化小隊の精鋭、第130小隊。
そして我らが第85小隊。
ひとたび後ろを振り向けば、知らない顔、顔、顔。
談笑している者もいれば、携帯端末をいじっている者もいる。
黒人もいれば、白人も、黄色人種だっている。
男性も、女性もいる。
けれど、着席している全ての人間に共通するものは、彼らが纏う歴戦の風格。
猛者のオーラ。
自分の弱さを、ヒトの無力さを、科学の愚かさを、自然の脅威を。
この5年で嫌というほど学んできた者のみが醸し出せる、堂々たる貫禄。
集団の中にいるだけで、自然と背筋が伸びてしまう。
俺なんて、そんな立派なものは何も持ち合わせていないというのに。
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