4章

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「4日前に発見され動向を追跡していたが、チェンナイの浄化装置の要警戒ラインを突破した時点で新種認定され、同時に討伐命令が下った。 原種は『テンプルム』、討伐難度4のビーストだ」 全体的なシルエットに原種の面影は強く残っているが、違いは明らかだった。 周囲の建物と比較すれば、その異常なほどの巨大さがよく分かる。 宿代わりの瓦礫塊は、上部にいくほど広く、分厚く形成されている。 はさみの形も原種とはやや違うようだ。 「直ちに作戦が立案され、第1防衛ラインにて即応2個小隊による遊撃が行われたが、昨日の22時に4度目の全滅を以て討伐作戦は中止された」 彼の背後では、件の戦闘時に録画された映像が垂れ流されている。 驚異的な攻撃範囲(レンジ)を持つはさみのひと薙ぎ。 画面越しに伝わってくるような衝撃。 重歩兵が撃った対甲殻ランチャーは強固な瓦礫塊のほんの先端を2、3の欠片へ変えただけ。 この巨大さ、この破壊力、この防御力。 こいつは間違いなく──。 「本日6時に、『プロフォドム』の討伐難度は4から5へ格上げされた。 同時に、最終防衛ラインでの死守作戦が立案され、諸君らが抜擢された次第だ」 討伐難度5。 人智や常識を超越した悪魔のみが分類される、圧倒的な強者の階級。 機械化小隊だって配備されるんだ。 今回の戦いは、間違いなく壮絶なものになる。 と、モニターの映像が、地形や建物が記号化された地図へと変わった。 「それでは、作戦の概要を説明する」 担当官の言葉とともに、地図上に色とりどりのいくつかの記号が書き足されていく。
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