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「初期作戦では、頭部への攻撃がはさみによって防がれ、決定的なダメージを与えるに至らなかった。 よって本作戦では、鋏脚を第1攻撃目標とし、破壊次第頭部への攻撃を行う」
モニターの端に、拡大された『プロフォドム』の立派なはさみが表示された。
(ほら、アッシュ聞いた? 俺のアイデアそのまま採用されてんの!)
「……」
もうこいつに何を言っても無駄だ。
黙るという動作を司る場所が欠如でもしているんだろうな。
例によって無視をしつつ、それでもやはり少し驚いている自分がいた。
作戦立案に携わる面子には、紛れもなく最高峰の頭脳が揃っているはずだ。
経験豊富な軍の司令官、生物学の権威、その他大勢の人類の英智が議論し、検証し、資料を持ち寄り、完璧な作戦を作りあげているはずだ。
それらエリートが導き出した最適解と同じものを、彼らより前に提案していた。
最も合理的で効率的な討伐法を、誰よりも先に見つけていた。
化け物かよ。
お前の本体だって完成系じゃないんだろ。
担当官の話に集中?
そんなことできるわけが無い。
「今回は、最有効射程からの戦車による砲撃で仕留める」
そんな俺にはお構い無しに、ブリーフィングは進行していく。
「1個小隊がビーストをキルポイントに釘付けにし、まずは戦車砲で鋏脚を破壊。 続けて頭部へ集中攻撃。 残りの小隊は車両の護衛に当たらせる」
地図が鳥瞰視点に切り替わり、大通りの交差点に赤い円が表示された。
キルポイント。
さらには車両の移動ルート。
歩兵の展開位置。
あらゆる戦術的な情報が、いくつかの線と色によって示されていく。
「それでは、各隊の配置を説明する。 まず、ビーストを釘付けにする役は、第85小隊に──」
そこまで言いかけた担当官の視線が、席の中央列にて大きく手を挙げた男を捉える。
「その役、第10小隊に任せて貰えないでしょうか!」
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