4章

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全員の視線が男に向く。 張り詰める空気。 「第10小隊、小隊長、アクシャ=ジャイン中尉です。 インドの地は我々のホームグラウンドだ。 他小隊の手を煩わせる必要はありません」 胸を張り、誇りを声に乗せ、彼はそこまで言うとキレのある敬礼をして座った。 即応小隊と比べて実戦経験の少ないために、二軍扱いされることも少なくない彼ら駐屯小隊。 それでも、地球を発ってからの5年間で沈めてきたビーストの数は計り知れないだろう。 ジャイン中尉の敬礼。 彼の周囲に座る部下の自信に満ちた眼。 それらの姿は確かに、数多の経験に支えられた堂々とした風格と頼もしさに満ち溢れていた。 「うむ、確かにここは地の利を生かした方が良さそうだ。 第85小隊、そういう事だがいいな?」 「承知しましたァ。 機械化小隊の護衛に尽力します」 シルヴァー小隊長が答えた。 話が具体的な配置の説明に移る。 それにしても、丸々1個小隊を使って戦車の護衛とは。 贅沢というか、そこまでして機械化小隊をお姫様のように囲う必要は果たしてあるのだろうか。 「……と、本作戦ではこのように厳重な領域守備を展開する必要性がある。 その理由だが、数日前から目標地域一帯に"死嵐"の出現を確認しているからだ」 まるで俺の疑問が聞こえていたかのように、担当官は答えを提示した。 "答え"の中身は想像以上のもので、猛者が集うこの部屋の空気がほんの少しどよめく。
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