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果汁50パーセントのジュースを与えられたような心境で帰路に着くと、僕は上の空であって、はたと顔を上げればもう自宅の前。 「ただいまー」 玄関の戸を開けながら呼びかけるも返事に乏しく、けど「にゃー」と愛猫のかんぴょう丸が出迎えてくれたので僕の気持ちは華やいだ。 よしよしと頭を撫でてやると両手をちゃんと前にそろえて座り、喉をゴロゴロと鳴らし始める。 かわいいなあ。かんぴょう丸は。 「おお、おかえり」 そのとき奥の部屋から顔だけのぞかせて話しかけてきたのは僕の祖父で、目には水中眼鏡のようなものを着けていた。 「じいちゃん、また変な実験でもしてるの?」 鞄を腕にぶら下げ、かんぴょう丸をだっこしながら祖父のほうへと向かう。 「変な、は余計だ。それより大変なことがわかった。ちょっと来なさい」 「もぉーなんだよ。僕だって忙しいのに」 「いいから来なさい!」 「はいはい」 そうして僕は祖父の部屋の前でかんぴょう丸を降ろすと(じいちゃんは部屋の中に猫を入れると怒るから)、僕はその散らかった部屋に足を踏み入れる。 「うわー前より散らかってない?」 部屋の中は雑多としており、床には所狭しと積み上げられた本のタワーがいくつも乱立していた。 「これじゃあ足の踏み場もないよ」 「いいから早く!」 じいちゃんはどうやってそこまですばやく移動したのか分からないが、ドアからまっすぐ奥の突き当たりにあるデスクチェアに腰掛けていて、パソコンのモニターと向かい合っている。 なんとか本の塔を崩さずにじいちゃんの傍にまで行くと座ったまま顔を上げてゴーグルを片手ではずして僕の制服をじっと見つめてくる。 「……ゆうた。制服変わったのか?」 「ぼけたのじいちゃん。僕、先々月にはもう高校生になったんだよ」 「あ、お、おう、そうだったな」 「で?用って何?お宝でも見つかった?」 僕の皮肉に、じいちゃんは予想に反して顔をしかめた。 「ある意味ではそうだな」 「えっ?」 いつものじいちゃんなら、笑い飛ばすか、もしくは皮肉で返してくるのにこのときばかりは声をひそめて僕に返事した。
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