思い、想い

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思い、想い

返してもらったカピバラさん。 匂いが染み付いていた。 いつも隣にいた匂いだ。 寂しくなった。もう遅いことはわかっているのに。 返してもらうんじゃなかった。 あの人の匂いが好きだった。 優しい匂いがしたから。 同じベッドでくっつきながら寝ていた日を思い出した。 寂しくて、恋しくて、ずっと泣いた。 もう僕らは終わったのだ。 もう2度と、会えないのだ。 鳥羽に旅行に行った時、僕の服を貸した。 とても似合っていた。 とても、可愛かった。 あの服を見るたびに思い出す。 ねえ、君は笑顔が誰よりも似合っていたよ。 君の匂い、一番好きだった。 もう、伝える術もなければ会うこともできないけど それでも、思い出してしまう。 今日もいるはずのない君の匂いに包まれて眠るのだ
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