秩序の蛇

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秩序の蛇

 粘液を纏う長く細い舌が乳首に巻きつき、その締め付けられた敏感な部分を震わせた。  尖った舌先は、さらにその中心を攻め立てて、体が快楽に呑まれていく。  白い腿の間には、濡れ光る滑らかな鱗に覆われた、蛇のような器官が蠢いていた。まさしく蛇のように、長く、冷たい生殖器官である。  蒼碧に波打つ鱗の刺激は、柔らかい肉襞を存分に擦り、硬く、深く、貫いた。  白い肢体が幾度も身悶え、敏感な蕾が、抜き差しの度に激しく疼く。  絶頂を迎えるためか、鱗に覆われた生殖器官が、さらに激しく攻め立てた。そして、動きが止まった時、卵を飲み込んだ蛇がそうであるように、鱗に覆われた器官に異変が生じた。  生殖器官の中を、丸い、卵のような塊が、ゆっくり、その形のまま移動したのだ。それは、鱗に覆われた器官の倍以上もある大きさで、赤子の頭ほどにもなるだろうか。ゆっくりと苦しげに鱗を逆立て、肉襞の中へと()ぐっていく。 「ひっ……」  少女の双眸が恐怖に揺らいだ。  明らかな異物の侵入に、それでも、与えられる恍惚と責め苦に喘ぎながら、その塊を受け入れていく。  白い肢体が、その異物の侵入に息を止めた。蛇の生殖器官だけで一杯になる肉壁が、無理やり大きく押し広げられる。  鱗に覆われた生殖器官は、まだ子宮近くまで挿入されたままで、卵のような塊は、蠕動運動に助けられるように肉を広げて奥へと進んだ。  一番太い部分が通る時、濡れた陰部が裂けて破れた。 「い…いやああ――っ!」  痛みを恐れる悲鳴が零れた。  逃げるように拒む肢体を、蛇が――巨躯を持て余すような美しい鱗の連なりが、蒼碧の光をくねらせながら、白い肢体に強く巻きつく。 「ぎゃああ――――っ!」  喉の奥から叫びがあがった。  卵のような塊は、さらに奥へと運ばれた。  出産を逆回しにするようなその行為に、気が狂わんばかりの悲鳴があがった。  皮膚の破れなど問題にならないような、激しい苦痛が産道を襲う。骨がミシミシと軋みを挙げた。焼けた石を埋め込まれるように、恐ろしい痛みが五感を蝕む。 「ひっ……あ……う……っ」  涙なのか、涎なのか、汗なのか、それすら判らず、顔も体もぐっしょりと濡れた。  もう叫ぶ気力すら残ってはいない。  出産が数時間かかるように、それも数時間かけて、苦痛と恍惚を繰り返しながら、やっと奥へと辿り着いた。  子宮――母なる寝床へ……。  鱗に覆われた生殖器官は、それを子宮の中へ吐き出すと、終了を告げる様にズルリと抜けた。  白い腿の間から、赫い血と、白濁した粘液がどろりと零れた。  終わったのだ。数時間も続いた神聖な儀式が。もしくは、おぞましい悪夢が。  少女は、虚空を見つめて呆としていた。  肢体に巻きつく鱗が緩み、膨らんだ腹部が露わになった。
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