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ケージから出た僕達は、笑い会う事が増えた。あの後レコさんは、隣町に引っ越す為に、色々奔走し、無事にあの町から脱出する事が出来た。特に大変だったのは、部屋探しだった様で、ペット可の物件を探すのが大変だったらしい。それでもレコさんは、楽しそうだった。サチオと住む新しい部屋だもの!良い部屋見つけなきゃね!と笑っていた。職場を辞める時に嫌味を言われた時も言い返したみたいだし、新しい仕事がなかなか決まらない時も、新しい町で生きる為に!と頑張っていた。やっぱり居村レコという、僕のご主人様はオシャレで優しく、そして強い女性だ。僕はご主人様を誇りに思う。そして、そのご主人様に選ばれた僕は、幸せ者だと思う。あの時、絶望的にならず、生きる事を諦めなくて良かった。
「サチオ、ジョニー君と走っておいで」
いつものドッグランに放たれた僕は、ジョニーと楽しく走り回った。
『なあ、俺達、いづれは一緒に住むかもな』
休憩中にジョニーが変な事をいうので、どういう事か聞いたら、ジョニーは顎でご主人様達の方を指した。ご主人様達は、手を繋いで見詰め合っていた。
『初めて出会った日から、俺の主人はお前の主人にデレデレだったけど、今良い感じみたいだぞ。お前、どうする?』
『どうもしないよ。君のご主人様は良い人みたいだし、レコさんが幸せなら僕はそれで良いよ』
僕はそう言って笑った。
大丈夫、レコさんも幸せになれるよ。
だって、僕があのケージを出られた様に、レコさんもあのケージから出られたんだから。
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