犬は怜悧な男に囚われる

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 沢城の口淫は比べ物にならないほどよかった。 「まぁ、早くても遅くてもいいですよ。私が満足するまでつき合わせるだけです」  と、後孔の入口を沢城の舌が撫でる。 「ひゃ、そんな所をなめるなんて」  汚いからと後孔を手で隠した。 「まぁ、出すところですからね。ですが、かまいませんよ」  指の付け根。そこを舌がうごめき、割り込んで弄ろうとしている。 「やっ、だめですって」 「邪魔しないでください」  指をかまれて、その痛みで手をどけてしまった。これでは沢城の思い通りだ。 「舐めるのだけは勘弁してください」 「わかりました」  後孔に指がはいってくる。 「ひっ」  今まで中にいれたことなどない。不快だし痛い。 「やだ、これは」  蹴飛ばしてやろうと足を動かすがそれを抑え込まれてしまう。 「辰、すぐによくしてあげますから」  そしてある個所を指がかすめ、その瞬間、快感が体をつらぬいた。 「あっ、あぁぁ」 「ここが良いのですか?」  辰の弱いところを弄り始める。 「んっ、そんなふうに触られたら、あぁッ」  指が二本、三本と増やされ辰の中を乱していく。 「あぁっ、んっっ、さわきさん、あぁん……」  更に襲う快楽に、意識が沈み溺れ始める。  もっと。  もっと沢城が欲しいと、欲が辰を支配し、荒い息を吐きながら見つめれば。  その手の動きがピタリと止まり、中から指が抜きとられる。 「もうよさそうですね」  と、辰に囁く沢城の声に。  自分の中に沢城が、と思うと高揚し体が疼いて仕方がない。
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