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だが、次の瞬間、再びベッドの上に縛り付けられていた。
「めんどくせぇな、お前は。わからない振りなんざするなよ」
上品ぶっていた仮面が外れ、ぎらぎらとした雄の顔をしている。
「あんた、猫かぶってたのかよ」
「まぁな。インテリ風を装ったほうがおめぇらみたいのには効果あるだろう?」
たしかに敬語の時の沢城は嫌味なやつだし近寄りがたい。
だが、目の前の沢城は、周りが柄が悪い者ばかりなので慣れてはいるが、辰の知らない男だった。
「俺はお前を手放す気はねぇからな。俺がこういう男だってこと覚えておきな」
本当の姿を見せてまで辰をベッドに縛りつける。
「え、何、お前、こっちの俺の方が好きなのかよ」
「へ?」
「顔が真っ赤だぞ」
そういうと、頬へと手が触れた。
「はぁ!? べ、別に、好きじゃ……」
本人が一番わかっている。ぶっわっと熱がこみ上げたことを。
「そうか、両想いならもう一回していいよな」
「え、両想いって」
「は、お前のアレはそう言ってんぞ」
と下半身のモノをゆるりと撫でた。
なんと素直なやつなのだろう。
「あぁ、バカ息子っ」
「イイコじゃねぇの。親と違って素直で可愛い」
こっちもな、と、柔らかな場所に沢城のかたくあついものが入っていく。
それだけで感じてしまう。そこの良さを知ってしまったから。
「沢城さん、あ、あぁっ」
気持ちよさに意識が飛ぶ。その時、耳元で、
「辰、俺のモンになれよ」
と沢城の囁きが聞こえた気がした。
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