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「――あれ?」
部屋のすみっこのほうに、ぽつんと小さな包み紙が残っているのに気づく。
まだ開けてないプレゼントが、一個あったみたい。
オーロラみたいにきらきら輝く、すべすべの包み紙。
一目見てなんだか不思議な感じ。こういう包み紙選ぶタイプの友達、いたっけ?
くるくるいろんな向きから見てみたけど、どこにも送り主の名前がないみたい。
「ママ、これ、誰から?」
「さあ? 中に書いてあるんじゃないのかい? 開けてみたらどうだい?」
「はぁーい」
キレイな包み紙をできるだけ破らないよう丁寧に開いていくと、手のひらサイズのコンパクトミラーが転がり落ちた。
真っ白なボディに金の装飾、ピンクの宝石があしらわれたそれは、とってもかわいくて私にピッタリ。
「やったー! こういうの私大好き!」
「けっこうな高級品に見えるけど……アンタそんなのもらっちゃって大丈夫かい?」
「プレゼントだもん、もらわないほうが失礼でしょ」
私は窓のお日様に、キラキラの宝石を透かしてみた。
「それに、内側にも誰からか書いてなかったよ。それじゃあ返しようもないじゃない」
「まあ、それはそうだけど……」
ママはちょっと納得いかないみたいで、ぶつくさ言っていたけど、さすがに誕生日プレゼントを取り上げるようなことはしない。
「さっそくみんなに自慢して来ようっと! 行ってきまーす」
「お待ち、アプル。アンタまだパジャマだろう」
あっ、そうだった! いっけなーい!
「ママ、私急いで着替えてくる!」
私はダッシュで階段を駆け上がった。
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