りんごの魔女アプル

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「えーと、今日の服は……どれにしようかなー」  クローゼットをがさがさ漁って、私は次々に服を見ていく。  あれでもない、これでもない。  一年で一番素敵な日だもの、一年で一番素敵な服を着たいんだけど。  あーん、どれもなんかピンとこないー! 「お困りですか?」 「お困りなんてもんじゃないよー!」  突然訊かれて返事して、私は違和感に気づいた。  あれ、今の声、誰だろ?  私の部屋には誰もいないし。  そもそもママの声でもなかったよね?  高めだけど確かに男の人の声だった。  まさか……かわいすぎる私を狙う不審者!?  私はおっかなびっくり、でもクローゼットの横に立てかけられた魔法の杖を手にとった。  ――魔法はド下手だし、正直自信はないけど。  でも! そう簡単に不審者に負けてたまるものかー! 「わわ、落ち着いてください! 怪しいものではありません」  謎の声は慌てた感じでそうつづけたけど。  でもそんなこと言われたって、信じられるわけない。 「だったら早く姿を見せなさーい!」  影からコソコソ美少女を盗み見してる人が、怪しくないわけないでしょー!
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