10人が本棚に入れています
本棚に追加
「えーと、今日の服は……どれにしようかなー」
クローゼットをがさがさ漁って、私は次々に服を見ていく。
あれでもない、これでもない。
一年で一番素敵な日だもの、一年で一番素敵な服を着たいんだけど。
あーん、どれもなんかピンとこないー!
「お困りですか?」
「お困りなんてもんじゃないよー!」
突然訊かれて返事して、私は違和感に気づいた。
あれ、今の声、誰だろ?
私の部屋には誰もいないし。
そもそもママの声でもなかったよね?
高めだけど確かに男の人の声だった。
まさか……かわいすぎる私を狙う不審者!?
私はおっかなびっくり、でもクローゼットの横に立てかけられた魔法の杖を手にとった。
――魔法はド下手だし、正直自信はないけど。
でも! そう簡単に不審者に負けてたまるものかー!
「わわ、落ち着いてください! 怪しいものではありません」
謎の声は慌てた感じでそうつづけたけど。
でもそんなこと言われたって、信じられるわけない。
「だったら早く姿を見せなさーい!」
影からコソコソ美少女を盗み見してる人が、怪しくないわけないでしょー!
最初のコメントを投稿しよう!