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「――へ?」
今、コンパクトさん――ミスター・ミラーだっけ――私のこと、世界一かわいいって言った?
「ねえ、それって私の真似?」
「真似……。さて、何のことでしょう?」
ミスター・ミラーの鏡部分がちょっとだけ傾いた。ええっと、首をかしげてるのかな……?
「じゃあ、お世辞ってやつ?」
「いいえ。鏡はいつでも真実を映すもの。決して嘘は申しません」
「真実ってことは……!」
私のほっぺたがかぁっと熱くなるのがわかった。
「私って本当に世界一かわいかったんだー!」
私はその場でぴょんと飛び上がって――ベッドの角に足をしこたまぶつけた。
「痛ぁっ!?」
「落ち着いてください、アプル」
「だってだってだって!」
そりゃあ、自分では自分のことを世界一かわいいと思ってたし。
知ってる子には今のところ私よりかわいい子いなかったし。
『私は世界一かわいい!』って口癖みたいに言ってても誰も否定しなかったけど。
でも、そんなのは私の知ってる世界だけの話かもしれないじゃない?
それがまさか本当に、魔法の鏡のお墨付きがもらえるなんて!
やっぱり今日は一年で、ううん、一生で一番ステキな日だー!
両手を突き上げる私を見て、ミスター・ミラーがクスリと笑う。
「やはり明るくて自信満々でいらっしゃいますね。それでこそ世界一かわいいアプルです」
「それ、何か関係あるの?」
「ええ。いくら顔の造りがよろしくとも、いつも暗い表情をしていたり、自信なさげにうつむいていたりしてはかわいさが損なわれてしまいます」
むむ、なんだかわかったような、わからないような……?
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