最大級の賛辞

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 真壁も以前、サークルメンバーから南のことをどう思うか聞かれたことがある。「よく分からないよ、知り合ったばかりだし」とはぐらかしていた。南を含めた周囲に、自分の真実を打ち明けるわけにはいかなかったからだ。  真壁は南に恋愛感情を抱いていないし、今後も抱くことはない。  それは、南の見た目や性格がどうこうという問題ではない。  真壁の恋愛対象は女性ではないのだ。  仮に南から告白されることがあっても、真壁はその気持ちに応えてやることができない。理由を伝える中で、最悪の場合、自分の性的指向を南に打ち明けなければならないかもしれない。真壁が南に好かれることを疑い恐れていたのはそのためだ。  真壁は、自分の性的指向を隠して生活を送っている。まだ、伝えるわけにはいかない。もし周囲に伝えることがあるとすれば、それは今の大学を卒業するときだろうと考えていた。 「そんな怯えた顔しないでください。真壁さんは信用できる人です。それは、気持ちが顔に出るからじゃなくて、あなたが物事に誠実に向き合う人だからです。あたし、真壁さんと友人でいられて良かったって思ってるんですよ」 「……俺は南が思うような奴じゃないよ」  南は真壁のことを、異性に向ける感情を正しく認識して切り分けられる人間だと思っているのだろう。だからこそ真壁に懐いてくれている。  真壁の胸には罪悪感が生まれていた。彼が南の望むような関係を築くことが出来ているのは、精神的に成熟した、出来た人間だからではない。同性愛者だったからだ。ただそれだけなのだ。それらを全て伝えることはできない。南のことは信用しているが、それとこれとは話が別だ。
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