最大級の賛辞

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 店内を見渡すと、客の数は大幅に減っていた。残っているのは、真壁と南と、ノートパソコンを起動している若いサラリーマンだけだ。 「異性の友人って、彼氏よりも得難いものだと思います。あたしにとって真壁さんは、とても貴重な存在なんです。お互い変に意識せずにいられる今の状態、奇跡ですよ。人の感情は思い通りにならないって身に染みて分かったので、尚更そう思います」 「俺以外にも南の友人たり得る奴はいたと思うけどな。巡り合わせってやつじゃねえの? 例えば彼女がいる奴とか、南以外に好きな子がいる奴だったら、南に恋する余地もないだろ。探せば幾らでもいる」 「男がみーんな真壁さんのように真面目な人だったら、世の中に浮気や不倫が蔓延ることもなかったかもしれませんね」  実際はそうじゃないですよ、と南は笑顔で否定した。 「それに、相手があたしを好きじゃなかったとしても、あたしの気持ちを変に勘繰る人だったら意味がないんです。あたしに恋愛的な意味で好かれていると勘違いするような自惚れ屋さんではね」 「俺も最初はそうだっただろ」 「真壁さんは自惚れてはいなかったじゃないですか。どちらかというと、あたしに好かれることを恐れていたように見えましたけど」 「……お前、よく人のこと見てるね」 「いえいえ! 相手が真壁さんだからですよ。真壁さんって、いろいろ表情に出るから、良くも悪くも分かりやすいですもん」   南の鋭い指摘に、真壁は頬を引きつらせる。この顔も表に出ているのだと思うと、冷や汗が止まらなかった。
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