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運び込んだ荷物は小さなクローゼットに入る程度のものだった。
まだ大きな家具のない部屋は8畳の床とエアコン、それに敷布団。
ベッドと机が届くまでは少しさみしい。
環境が大きく変わる分、自分も変わらなければ……
ゴミ出しはこまめに、曜日を確認しないと。
しっかり自炊もしないとな。毎日自炊の写真を撮ろう。
節約、こまめにコンセントを抜く。
水も無駄遣いしない。出来るだけ両親への負担を減らそう。
規則正しくできる大人に。
とりあえずこの広い床を綺麗なまま保たないとな。
そういえばルンバがある。
実家では部屋の角をひたすら突くポンコツ癒し担当。「ルンバカ」の愛称で親しまれたコイツ。
ほんと、なんでこんなもの持ってきたんだっけ。
小さくため息をつきながら床に置いてやる。
心なしか隣の部屋の音が大きく感じる。壁は薄いのだろうか。
あまり大きな音は出せないな。
お隣さんくらいには挨拶すべきなのか?
やることが多いなぁ……
やることといえばあの封筒、ポストに出すのをすっかり忘れていた。
慌てて封筒を探す。
と、何かに足をぶつけた。
誰だよ、こんなとこに物を置いたのは!
自分だけど……
ぶつけたのはルンバだった。その衝撃でルンバは勝手に起動した。
大きくため息をつきながら、動き出したルンバを横目に部屋を出る。
なれないなぁ、新しい環境は。
別に封筒をポストに入れるだけだ。慌てることじゃない……
そんなことを思いながら用事を終え、ゆっくりと部屋の扉を開ける。
ガンガン、という音。
……お隣さんだろうか。
ルンバが部屋の角を突いていた。
ふと肩の力が抜けた。
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