我がブルー

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「で、家賃というのはいくらぐらいでしょうか?」 「払う気になりましたか!」 「一応聞くだけ……ですが」 相手は計算機のようなものを取り出した。 「ええと、換算するとですね。遅延損害金も含め、5200兆円になります」 ん? 唖然とした。 そして、私はやや小さな声で尋ねた。 「……本当に?」 「はい、一度も払いに来ませんでしたから」 「契約書や規約はどこにあるのでしょうか?」 「電波で送りましたよね」 「分かんないですよ、そんなの」 「払わないと契約解除しますよ」 「小額ずつ払う、ではダメですか?」 「……それは、あなたが借主になるということですか」 「とりあえずの」 もう仕方がない、こうなっては後のことなどどうでもいい。 「わかりました。新規に契約書を作りましょう。滞納した分はきちんと払ってもらいますからね」 相手は満足そうな笑顔を見せた。 「何十億年と家賃を滞納してきたので、よろしくお願いしますね。次滞納したら『侵略』しますよ」 相手は笑みを見せた。 私は宇宙船に戻ると頭を抱えた。 未知との遭遇を果たしたと思ったら、多額の借金を抱えてしまった。 地球に帰って伝えないと……。 「銀河第五百八十地区太陽系第三番地12700『地球』 借主 石島次郎」 私が地球の借主になってしまったらしい。 我が地球。 「……ブルーな気持ちである」 ……。
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