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結論から言うと、銃は本物だった。
私はその夜、ジャックにまんまとノせられてインチキ銃で仇に発砲した。
足を撃たれて呻く仇。
案の定、下手なエイムで急所を外している。
私はそんな仇を見下ろしていたはずなのに……
いつの間にか、目の前には撃たれる前の仇が立っていた。
「っ!!!……巻き戻ったのか!」
「やってみろ、撃てよ!」
仇は先ほどと同じ表情、同じ声色、同じイントネーションで私に言った。
そこで私は気づく。
拳銃を握った指が動かない。
拳銃を離すことができず、引き金を引くことしかできない。
「望み通り撃ってやる。動くなよ!」
そう言ったものの、正直、復讐する気は失せていた。
一度引き金を引いたことと、撃たれた仇を見たことで、私の復讐心は冷めきってしまった。
殺しても何の意味もない。私が捕まるだけだ。
アイツのために私がペナルティを負う必要はない。
『俺はもういい。』
私はアイツの言葉を思い出した。
ジャックも誰かを殺し、復讐に意味がないと悟ったのだろうか?
この銃で誰かを殺して……
いや。
ならば、なぜ『残弾1』なんだ?
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