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「本物じゃないよな」
私は恐る恐る聞いた。
「ん? 当たると死ぬが?」
ジャックはそう言って指を銃の形にした。
「さっさと隠せよ」
私は辺りを確認し、テーブルに置かれた拳銃をジャックに突き返した。
「『復讐したい』なんて言うから、わざわざバーに来てやったんだ」
お前の話なんだよ。とジャックは呆れたように呟く。
「別に殺すとは……」
私は言葉を濁す。
「殺したいんだろ? 仇をよ」
「……」
「ビビるな。勝手に撃ちゃしねぇから」
ジャックが再び拳銃を差し出す。
「……知ってる」
「覚悟決めろよ」
私は無言でジャックを睨むと拳銃を手にとった。
「リボルバーか」
そう言って、私はシリンダーを回した。
知ったような口を聞いたが、銃はまるで詳しくない。
いくつか弾の入る構造に見えたので、なんとなく言っただけだ。
「ただの銃じゃない」とジャックが言う。
「ただの銃がやばいんだろうが」と思いながら、私はジャックの次の言葉を待った。
「言葉にすると陳腐だが、言ってしまえば『呪いの銃』だな」
……はぁ?
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