幸せに決まった形はない

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 で、彼女の方を見ると、彼女は僕を見る時には終ぞ見せたことがない爛々とした目でイケメン男を追っていた。  それを見て矢張り彼女も気を使って嘘を言ったのだと僕は悟った。とすると、ビールを飲めない彼女は僕といる時、一体いつ幸せを感じるのだろうと僕は再び考え始め、美味いもん食べている時とかは別にすると、ないかもなと思い、気の毒になった。まあ、子供を作れば、新たな苦しみが生まれる反面、新たな喜びも生まれるだろうし、僕にしたってそうだから何も悲哀を感じることはないさ・・・  兎に角だ、僕はこの頃、こう思い直したんだ。幸せに決まった形はないとね。つまり俗な価値観に左右されず幸せに対するステレオタイプをかなぐり捨て自分独自の幸せを作るべきだと僕は思うのだ。いい女をゲットできる三高男には見出せない幸せをね。出来れば、白い米に飢えていた時代に於いて真っ白なおにぎりにありついた時の幸せ、それは具が全くないにしても現代に於いて色んな調味料を駆使したどんな凝った美味い料理にありついた時よりも喜びが一入だったに違いない。  そんな幸せを掴むべく僕は今後、敢えてストイックな生き方をしてシンプルでありながらどんな飾り立てた幸せよりも幸せな幸せを求めて孜々として前進する所存だ。
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