特別編 ③ トオルとナツコのお正月。

7/7
前へ
/2095ページ
次へ
搭乗手続きを済ませると トオルはそのカウンターで ナツコのおでこに、チュッとして 「ナツコ、 これでもう 本当に 日本に来る事はないかも。」 「うん。私ね、フランスに行って……。 なんか、ずっと 日本に忘れ物した気がしてて…。 ママと…。喧嘩別れ したままだったんだよね。 今日 会えて 良かった。」 搭乗するまでの時間に、ナツコの念願だった 羽田空港で 焼肉を食べて 空港のロビーで 3人で少し 仮眠をした。 ナツコが目を開けると トオルがスマホをチェックしていて 少し アゴを引いて、スマホの画面を見ている トオルのその表情で ナツコは、 ママが空の向こうに 旅立った事を理解した。 トオルとナツコの間にアユがいて トオルは眠っているアユをヒザに抱き ナツコの肩に腕を回して引き寄せると 「ナツコ。今回の正月は 飛行機ばっかり乗ってたな。 今年もよろしく。」 「うん。トオルのおかげで 忘れ物を取りに来れた。 トオル、本当にありがと。今年もよろしく。 あ、来年も再来年も、ずっと よろしく。笑」 「あぁ、ずっと よろしく。」 では、また いつか… トオルとナツコの物語り ずっと、よろしく。
/2095ページ

最初のコメントを投稿しよう!

157人が本棚に入れています
本棚に追加