第一話 ~前奏~

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第一話 ~前奏~

 女神や天使の名前の魅惑的な曲線に沿って柔い肌の上を指先でなぞり、時折、摘み上げたり、軽く引っ掻いたりすると、彼女の濡れた唇からは甘い溜め息が零れ落ちる。  問い掛けるのは僕。応えるのは彼女。 快感を訴える彼女の吐息が切なくなるほど、僕は夢中になっていく。二人で奏でる調べの甘美さに目眩がしそうだ。  一台ずつ異なる弦楽器の個性を弾き手が引き出すと、見違えるように音色が変わるように。僕は、彼女だけの個性を探ろうと五感を研ぎ澄ませる。  最初は優しくゆっくりと。そして、クレッシェンド。  その髪が、首が、背中や腰が、指先や爪先が、白いシーツの上を揺蕩い、絞り袋から押し出された生クリームのように皺を作っていく。シーツの衣摺れの音、汗ばむ肌を擦り合わせる時の湿った音すらも、二人の共同作品の一部だ。  僕を待ち侘びて期待に潤む瞳。その眼差しの熱っぽさに、僕の身体の温度も上がる。
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