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第4話 同意した以上は従わなきゃいけないのか
「おはよう海翔」
次の朝、教室に向かう廊下で敬子が後ろから声をかけてきた。
「おはよう敬子……さん」
「さて、ここで問題です。交際の心得その５は何でしょう？」
「え？ええと……」
「思った通り読んでないわね。そこに正座しなさいっ！」
いや、ここ廊下だし、正座なんてしたら周りの生徒に敬子がひどいやつって思われるよ。
「そ、それもそうね。じゃあ気をつけっ」
「はいっ」
海翔は直立不動の姿勢をとった。
「交際の心得その５ 挨拶は男子からすべし」
「はい？」
「今、私から挨拶したよね？」
「いや、だって敬子さんは後ろから来たから、居るなんて気付かないよ」
「私はアンタの何？」
「彼女です」
「彼女が後ろにいるのに気付かないってどういうこと？」
「だって後ろに目が付いてるわけじゃないし……」
「学校に来たら真っ先に彼女がどこにいるか、周囲を確認しなさいっ」
「そんな……」
「そんな？気付いてない間に彼女が他の男にナンパされててもいいの？」
いや、ここ学校だし、ナンパなんて無いでしょ。
「甘いわね。イケメン女たらしの上級生に声を掛けられてもいいっての？」
「それは嫌だ。敬子は俺の大切な彼女だ」
「た、大切なって……ちょ、呼び捨て禁止って言ったよね」
あ、敬子がちょっと照れた。可愛さ３倍増しだ。
「もういいわ、動いてよしっ。教室に行くわよ」
敬子は教室の扉の前で立ち止まった。
「んっ」
「え？」
「んっ！」
扉のほうを顎で差す敬子。
「アンタ学習能力無いの？扉を開けなさいよっ。交際の心得その９ 男子は女子をエスコートすべし」
教室の扉くらい自分で開けろよ。いやまあ開けてあげるけど。
「いい？わかった？交際届に署名捺印した以上、交際の心得を読んだと見なされるんだからねっ。気を付けないと生徒会の覆面調査員に見つかったら呼び出されるわよ」
覆面調査員？なんですかそれ？
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