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第5話 財布の紐は固いほうが良いのはわかるけど
「海翔、ついに山下敬子と付き合うんだって?」
中学の時から同じ部活の和真に声をかけられた。今のところ生徒会の人以外は誰も知らないはずなんだけど、なんで知ってるの?生徒会から個人情報流失?
「なに言ってんだ?交際届を書いたんだろ?掲示板で告知されてるぞ」
告知?なにそれ?
掲示板を見に行くと告知文が貼り出されていた。
●交際に関する告知●
交際届の提出された以下の者の交際を生徒会長名をもって公式に承認する。
・一年四組 高浜海翔
・一年四組 山下敬子
以上
いつの間にか横に立っていた敬子が嬉しそうに言った。
「これで私と海翔の交際は生徒会に公認されて、晴れて天下に知らしめることが出来たわね」
「うん、かなり注目を浴びてるよ」
「このほうが『私たち交際始めました!』って報告のハガキをみんなに出すより効率的でしょ」
「報告のハガキって?」
「結婚したら結婚報告のハガキを出すでしょ、交際したら交際報告のハガキを出すに決まってるじゃない」
そんなの聞いたこと無いよ。
「でもこうやって交際を告知して貰ったから、もう大丈夫よ!さて、ここで問題です。告知して貰ったことによる最大のメリットは何でしょう?」
「え?うーん……報告の手間が省けた、だよね」
「からの~?」
「からの~??」
何だろう?わからないや。
「手間だけじゃ無いでしょっ。ハガキ代、切手代、印刷代が浮いたじゃないのっ」
「あ、本当だ」
「もっとしっかりした経済感覚を身に付けなさいよっ。これで私たちのお金が節約出来たのよ!」
私たちのお金?
「私が財布の紐を握って海翔の良いお嫁さんになるわよ!」
「え?!お嫁さんに!?」
「うるさいうるさいうるさい、いちいち繰り返すなっ。さあ財布を渡しなさい!経済感覚の無い海翔は今からお小遣い制よっ」
親からもらったお小遣いを巻き上げられて、そこからお小遣いを貰うの?!
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