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第8話 デレがあるからやめられない
「ごめん敬子、嘘でも泣かないで」
「はあ?嘘ってなによ、くすん」
くすんって、ぜったい嘘でしょ。
「今日も頑張って焼きそばパン買ってくるから許して」
「あとフルーツ牛乳も、くすん」
増えた。パシリじゃないよね?
「海翔の愛を確かめてるの」
ウザい。ちょっとイラッとした。
「海翔の愛を確かめてるの」
今度は上目遣いで言ってきた。ちくしょう可愛すぎる。
「わかった。フルーツ牛乳も買ってくる」
「はい、お金」
あれ?今日は自分の財布から小銭を出したよ。
「今日は私が食べるからね」
不思議そうにしていると、
「な、なによ。昨日美味しそうに見えたからホントに食べてみたくなったとかじゃ無いんだからねっ」
やっぱり昨日は食べるのが目的じゃなくてパシリに行かせるのが目的だったのか。
今日も海翔は4時間目が終わると食堂に全力で猛ダッシュした。怒号が飛び交うなか焼きそばパンの最後の1個を掴んだ。フルーツ牛乳は自販機でゆっくり買えたけど、掴んだパンは少し潰れてしまった。
「ごめんね、必死になりすぎて少し潰れてしまった」
怒られると思ったのに
「必死になってくれたのね、ありがとう!いただきます!」
嬉しそうな敬子、頑張って良かった。
「うん!美味しい!焼きそばパン、神」
そんなに喜んでいただけて努力が報われました!やっぱり敬子は可愛いよ。
弁当を食べ終わって自分の席にもどろうとすると、
「ちょっと待ちなさい」
「え?」
「お釣り返しなさいよっ!」
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