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めずらしい。
どうしたんだろう。
小さな頃とは違って、最近ではこんな合図はめっきり無くなっていたのに。
というか、もう帰ってたんだ。
私は制服を着替えるのをやめて、部屋を出て隣の504号室へ向かった。
──ピンポーン。
呼び鈴を押して、10秒も経ったか経たないか。
家の扉がためらいもなく開いて、顔を出したのは凌本人だった。
「ちゃんと顔確かめた? ダメだよ、もしかしたらファンの子が」
「ごめん、琴香、俺が行こうとしたんだけど」
「えっ、わっ」
言葉尻を奪われ、凌に強く腕を引かれ、私の体は強制的に家の中へ引き込まれた。
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