3日目*同じ部屋に帰りたい。

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そこにいたのは、同じクラスの綾瀬(あやせ)くんがいた。 スッと長身で、背筋が伸びていて姿勢が綺麗。 凌と比べたら、どちらが高いだろう。 ……凌かな? 端正な顔立ちをしていて、密かに女子人気がある。 綾瀬くんは、両手いっぱいにひとつの包みを抱えている。 「綾瀬くんも洗濯に来たの?」 「ああ、家、この辺だから。君嶋もこの辺だっけ?」 「あ、えっと……」 週末になれば、約束の一週間が終わって、ここから少し離れた実家に帰る私にとって、うかつな発言をするわけにはいかない。 だからといって、地元でもなんでもないのに、わざわざ遠くのコインランドリーにきたと思われるのも、何かと突っ込まれてしまいそうだし。 「あ、綾瀬くん、家の手伝い? 偉いね」 「手伝いっていうか、これ毛布だから、うちの洗濯機に入らなくて。毛布って案外重たいじゃん。母ちゃんが、歩いてコインランドリー行こうとしてたから、俺が代わっただけ」
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