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「え、君嶋、いいの?」
「な、ななななにが?」
「いや、今、家の人、何か言ってなかった?」
「ううん、全然! あれね、お兄ちゃん! どうでもいいことしかいつも言わないから、本当にどうでもいいの!」
自分でも、慌てすぎて何を言っているのか、分からない。
「へー、君嶋って、兄ちゃんいるんだ」
「う、うん、学校では、隠してるんだけどね!」
「きょうだいを隠す必要ってあるの?」
確かに……!
「いいの、いいの! い、行こう、学校!」
「チラっとだけ見たけど、君嶋の兄ちゃんって、なんかどこかで……」
「誰にも似てないよ!? 学校! 行こう!」
凌の顔を思い出そうとしている素振りの綾瀬くんを、無理やり背中を押して、歩かせた。
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