4日目*秘密の終わり。

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「な、なんでもないよ。早く行こう。遅刻する」 「え? そんな急がなくても、間に合うと思うけど」 「いいから、いいから」 半ば強引に背中を押し、綾瀬くんを無理やり歩かせる。 見られて……ないよね? 結構遠いし、見たとしてもすぐに凌だなんて気づかないはず。 歩きながら、またチラッとマンションを見上げると、もうベランダには誰もいなかった。 もしかして、気づかなかっただけで、今までも凌はこうしていたのだろうか。 「……」 ううん、実家にいた時から、凌は誰にも見られないように気をつけていたから、きっと今日はたまたまだよね。 そうだったら嬉しいのに。 ……なんて、思う私は、まだまだ自覚が足りない。
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