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綾瀬くんにもあいさつをして、そのまま帰ろうと思い、横をすり抜ける。
「君嶋」
「なに?」
呼び止められて、振り向く。
「どうせ同じ場所に行くんだし、帰りも一緒に行かない?」
ピタッと止まる。
なんで?
率直に浮かんだのは、この疑問。
「……私と?」
「そう」
「あ、でも、私、買い物してから帰るんだけど……」
「邪魔じゃなかったら、付き合ってもいい? 荷物持ちするよ」
「えっ、そんな……」
今断ると、綾瀬くんの言い方的に、邪魔だと言っているように聞こえそう。
朝は一緒に来たんだし、断るのもおかしいのかな。
綾瀬くんと一緒にマンションに帰って、またうっかり部屋の中を見られたとしても、凌はまだ帰ってないはずだから、存在がバレることはないだろうし。
それに綾瀬くんは、一緒に歩いても特に気まずくなる人でもないし。
それなら……まあ、いっか。
「……うん、分かった。行こう」
「ありがと」
「でも、荷物は持たなくていいからね」
「遠慮しなくていいのに」
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