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「君嶋って、えらいよな」
「なにが?」
綾瀬くんは、ショッピングモールの食料品売り場で野菜を見る私に、感心したように話しかけた。
他の売り場に行ってもいいと行ったのだけど、買い物にまでついてきてくれた。
「コインランドリーに洗濯しに行ったり、今日は家族の代わりに買い物だろ?」
「別に、えらいとかじゃないんだよ。私がやらなかったら、誰も出来ないから」
「そうなの?」
「うん、凌には無理だから。私も、嫌々やってるとかじゃないし」
「? 誰? 家族?」
「!!」
しまった!
にんじんの鮮度を見るのに集中していて、素直に答えてしまった。
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