215人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
*
「重くない? 俺、持つよ」
「大丈夫。見たでしょ? 大したもの買ってないところ」
私が買い物をしたエコバッグを巡って、何回もそんな会話を繰り返して、何分が経ったのか。
目と鼻の先にマンションが見えてきて、綾瀬くんと一緒にエレベーターに乗り込んだ。
階数ボタンを押して、エレベーターが動き出す。
「結局、荷物持たせてくれなかったな」
「こんなの、持ってもらうほうが悪いよ。買い物にだって付き合ってくれたのに」
ポーンと、あっという間に到着の音が鳴る。
「今日は、ありがとう。じゃあ」
先に部屋の扉に鍵を差し込み、綾瀬くんにあいさつをする。
扉を開けて、閉めようとしたら、
「あのさ」
「うん?」
呼び止められて、扉を半開きにしたまま、中に入った。
「よかったら、明日も一緒に学校行かない? どうせ、行くところ、同じなんだし」
「え? うん……、分かった」
最初のコメントを投稿しよう!