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足音を立てないように、恐る恐る玄関に近づく。
ドアスコープから、そっと外を覗く。
部屋の外に立っていたのは、ひとりのクラスメイト。
綾瀬くんだった。
「あ……」
そうだった。
綾瀬くんは、偶然見られたから知ってたんだった。
周りに誰もいないのを確認して、ドアを開ける。
「ど、どうしたの? 綾瀬くん」
「あ、ごめん急に。同じマンションにクラスの子がいるって話したら、母さんが作りすぎたコロッケ持って行きなさいって。……迷惑だったよな?」
苦笑いで差し出してくれたタッパーを、受け取る。
まだ温かい。
「えっ、いいの? 嬉しい」
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