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「!! ご、ごめんね」
とっさに離れようとするけれど、それに反して、凌は私を抱きとめる力を強くした。
抱きとめている……って、いうよりも。
抱きしめられている、ような気が。
ぎゅうっと力がこもって、呼吸がしづらい。
「し、凌、苦しいよ……」
「ごめん」
なんて謝りながらも、力を緩める気はないらしい。
「どうしたの? 今日の仕事、何か嫌なことでもあった?」
よしよしと、子どもに言い聞かせるみたいに、凌の背中をさする。
子どもと呼ぶには、大きすぎるけど。
「うん。嫌だった。今日は、琴香と一緒にごはん食べたかったのに。ごめん」
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