213人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
*
「ほら、ちゃんと帽子かぶって」
「琴香、これじゃ何も見えないよ」
背伸びをして、凌のキャップを目元まで深く直す私に、凌が大きな手で阻止しようとする。
「この時間でも、出歩いてる人はいるんだからね。誰かに見つかると、大変でしょ」
闇に落ちた夜に、私が凌の手を引いて連れ出したのは、コインランドリー。
周りには住宅街ばかりで、この時間になると自宅に帰った人ばかりなのか、人通りは少ない。
お店も少なくて、街灯もわずか。
ひとりだったら、絶対にこの時間に外に出たりしないけど、今は凌が一緒にいる。
最初のコメントを投稿しよう!