1日目*同棲生活(仮)は前途多難。

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「いいですか? 玄関を開ける時は、一番気をつけてください。間違っても、ふたりそろって部屋を出ることのないように。もちろん、ふたりで並んで買い物なんか行ったらいけませんよ。一週間だけの同居だからといって、気を抜かずに。では」 ひと息で言い切り、武田さんは部屋を出ていった。 凌と一緒に見送った玄関先で、初日にしてすでに私は疲れていた。 大きくため息をついて、頭をガクッと下げた。 「ごめん、琴香。タケさん、悪気があって言ってるんじゃないんだ」 「大丈夫、分かってるよ。凌のことが心配なんだよね」 「六歳も離れてるから、いつまでも子ども扱いしてくるんだよね」 いや、理由は絶対にそれだけじゃない……。 相変わらずのんびりと話す凌を見て、密かに思った。
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