2日目*初めての恋は君のもの。

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* 「おはよう、琴香。なんかいいにおいする……」 プライベートルームとして与えられた部屋を私が出てから、約一時間。 凌は目をこすりながら部屋を出て、私のいるリビングにやってきた。 ただでさえ普段からボーッとしているのに、寝起きはさらに拍車をかけている。 「おはよう、いいタイミング。朝ごはん、今出来たばっかりだよ」 「え、作ってくれたの? 琴香、レベル高いね」 何のレベルかはとりあえず置いておくことにして、リビングのテーブルに、ハムエッグとトースト、カフェオレをふたり分並べた。 「冷めないうちに食べよう。ほら、凌も座って」 凌が、席に着きながら首をかしげる。 「あれ? 優しい。怒ってないの?」 そんな自覚があったとは。 「セリフ、間違っただけなんでしょ。私こそ、叩いてごめんね」 「……あー、そういうことにしたんだ?」 「え?」 声が聞き取りづらくて聞き直すけど、それ以上は返ってこなかった。
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